投資とか

プライベートバンクの紹介②:UBS

UBSとは

スイスのプライベートバンクというイメージもありますが、規模から言ってもやってることから言っても、「ウェルスマネジメントを中核業務にしたスイス発祥のグローバル商業銀行」というのが正しい言い方なんじゃないかと思います。とにかく規模がでかい!ウェルスマネジメント顧客預かり資産は世界トップクラスでモルガンスタンレー並み、クレディスイスの3倍はあるし、グローバル50拠点グループ総従業員数68000人とまさに恐竜です。その規模を生かした世界中の情報収集・分析力がUBSの強みとアピールしています。

ウェルスマネジメントがUBSの中核業務で、その他にM&Aなどの投資銀行部門、金融商品を組成したりするアセットマネジメント部門があります。つまり自分のところで投資信託を作ってプライベートバンクの顧客に販売できるので、運用報酬と信託報酬の両取りを狙って自社のファンドを優先して売ってしまうというバイアスがかかる懸念があります。ただ、伝統的プライベートバンクに近いロンバーオディエも、自分のところでファンドを作って組み込む点は一緒で似たり寄ったりなので、それが不当に高くなくて良いものであれば拒む必要もないかと思います。

UBSの日本での展開

グローバル同様日本も規模が大きく、東京、名古屋、大阪にオフィスがあって、顧客担当のクライアントアドバイザーは90人近くいます。銀行と証券会社両方あるので、ワンストップで預金も証券投資もできる体制になっています。UBSで対応できない不動産や日本の税制、遺産相続なんかは、以前より三井住友信託銀行と連携しているようです。それを一歩進めた取り組みが2020年に始まるUBS SuMi Trustウェルスアドバイザリーで、社名はもう少し読みやすくならなかったのかとは思いますが、とにもかくにもこちらも動き出しています。

プレスリリースでは、2021年めどにUBS証券からウェルスマネジメント事業を切り出して別会社を作り、その株式の49%を三井住友信託銀行が取得するようです。それってUBS本体が日本からウェルスマネジメント撤退する布石じゃないの?って勘繰っちゃいますよね。そこまで言わなくても2021年以降、UBS日本のウェルスマネジメント業務はどうなるんでしょう?

スイスの銀行とはいえ、銀行・証券の日本法人なので、それぞれの口座は日本でつくることになります。海外にあるUBSの口座開設もできるようですが、とりあえず日本に口座作ってからにしろ、というプレッシャーを感じます。

UBSの雰囲気

UBS東京支店の場所は、大手町ファーストスクエアの12階です。だだっ広い1Fエレベーターホールに立つと、スーツを着たビジネスマンばっかりでスウェットとデニムの自分が浮いてます。ホールの一角にUBSの入館用受付があるんですが、周りからまる見え過ぎて落ち着きません。ロンバーオディエやクレディスイスが入ってる六本木一丁目の泉ガーデンタワーを比べると、ビルが古く感じるというか、あか抜けないというか、何にしてもプライベートバンクっぽさは見当たりません。仕事で顧客との打ち合わせに来たみたいです。

ビジターカードをもらって12階に上がります。途中の廊下や応接室に絵が飾ってありますが、作家や絵の説明が一つ一つについてるのが面白いです。海外ではアート投資の案内もしているようです。応接室はいわゆる日本の銀行っぽいイメージで洗練というよりは安定路線って感じました。

最低預入金額は2億円から

もらったパンフレットの最終ページに大きな字で「2億円以上の資産預入れ」が必要と書かれています。ウェブサイトにもしっかり書いてあります。UBS SuMi Trustウェルスアドバイザリー経由でも、UBSで運用したければ2億円以上入れる必要があるみたいなので、その点のブレはないみたいです。2億円入っていれば、ファンドだけではなく市場からダイレクトに現物を購入することもできます。ただ、最低2億円ですが5億円は入れていただきたい…という心の声を言葉のはしばしに感じます。

運用商品について

クレディスイス同様、世界最大級のプライベートバンクなので何でもあります。公開されている普通のファンドはもちろん、投資一任運用で使うUBS独自のファンドラップ、ヘッジファンド、プライベートエクイティや不動産の私募ファンドなど珍しいものも種類は少ないですがあります。普通はなかなか買えない外国債券を直接購入することもできて、普通のシニア債、劣後債、優先株、仕組債、フルラインナップでそろっています。わざわざ海外の銀行に口座作らなくてもここを窓口に世界の金融商品は買えるんじゃないかという感じです。

投資一任運用で使うファンドラップは米ドル、円建ての両方から選べて、ヘッジファンドをポートフォリオに入れるか入れないかを選択することができます。円建てはリターンが数%落ちます。ここ数年ヘッジファンドの成績が全体的に良くないので、ヘッジファンドなしの方をおすすめされました。ポートフォリオは、インカム・利回り・バランス・成長の4つの中から選びますが、構成しているサブファンドの割合が変わるだけのようです。

投資一任運用の各ファンドのリターンや、運用報酬や信託報酬のコストについては、巷にあふれているファンドラップと大差ないような感じがします。それを目の当たりにして興味がなくなってしまったので聞きそびれましたが、購入手数料はなかったと思います。プライベートバンクの投資一任運用にすると夢のようなリターンが出るとか、プライベートバンクだから手数料がかなり高くつくとか、そういったのは都市伝説だったようです。