読書・評論

演劇を初めて見てきた

演劇っていうのは、相手の想像力を信頼して、余白をうまく作り出す。テーブルが机になり、ちゃぶ台になり、ひっくり返してベビーカーになり。テーブルをゆっくりと移動させるしぐさが、悲しさともの暗さを予感させたり。ナレーションが何もなくても、背景が変わってなくても、場面が変わったことを観客に理解させたり。そういうちょっとした知的遊びって、推理小説みたいで、考えてパッと理解した時、自分の中の楽しさがある。娯楽を外から与えられて快感を得るのではなく、内部からの喜び。

俳優も演技がめちゃくちゃ上手で驚いた。手首をひっかいて何してるのかと思ったら、生命線をのばしたかったと知ったときは、ちょっと悲しかった。

演劇でも、宝塚みたいな仰々しいセットはお遊戯会みたいで興ざめで、舞台だけであとは想像力でカバーする、みたいなシンプルなのが良い。現代口語演劇というのが自分に刺さる気がしている。10月の平田オリザの公演を買ってしまった。思ったよりはまったのかもしれない。良かった。