旅行

金沢の橋立漁港でカニを食べる

昼に橋立カニを食べ、夜は回転ずし

二日目の昼、目的の橋立漁港にカニを食いに行きました。日本海は荒々しくて、延々と続く海岸沿いの道路からも高い波が砕けていくのを眺めることができます。そんな中、橋立港は車で1分も走れば端から端までたどり着けるくらいの、こじんまりとしているというより少しさびれているようにすら見える漁港です。親父が訪れた20年前とは活気が違うのでしょう、昔行った店はどこだったかなとつぶやいて首をかしげていました。

食べるところもせいぜい2,3件、観光客相手に大きく商売をしているお店は一店舗のみ、マルヤ水産だけと言ってもいいと思います。親父の希望のまんま漁師町とはいえ、ここで父を落としたら毎日同じ店で食べるはめになりそうです。ここの二階が「割鮮 しんとく」、という料理屋になっていて、一階で食材を選んだら上で調理して出してくれます。

ズワイガニは大きさ別に分かれていて、僕らは一匹5000円のものを2匹、一匹を刺身と焼きガニに、もう一匹をゆでてもらうことにしました。5000円程度のカニだと、刺身にできるのは大きい脚2本くらいで、あとは焼きガニにして食べるようです。ゆでると丸ごと一匹になるので他に選択肢がありません。

淡々とカニを網の上で焼き、出てきた刺身をすすって食べ、茹で上がったカニの足をスプーンでほぐし取って、二人黙々とカニを食べる作業に集中します。客は自分らだけ、港町の料理屋に気のきいたサービスなんて求める方が間違ってるわけですが、女の店員さんもまあぶっきらぼうです。5000円のカニだと少し小さかったんでしょう、焼きガニも茹でガニも身を取るのに大変苦労しました。味は間違いなくおいしかったです。カニみそをなめてみましたがやっぱり苦手なので二匹分親父にあげたらたいそう喜んでました。料理代込みで合計15000円でした。

 

二日目の夜は回転ずしに、それも金沢ならではの回転ずしに行こうということになり、地元税理士おすすめの「金沢まいもん寿司」本店で食べました。都内の回らない寿司屋と比べても負けず旨いと親父が言うくらいで、二人でたらふく食べて酒も飲んで一人3500円は価格面でも大満足です。いくらグルメ旅行とは言え今までお金使いすぎていたようで、金に厳しい親父がとても満足気でした。関東にもチェーン店があるようなので、味を忘れないうちにこちらでも行ってみたいと思います。

 

時間つぶしで観光地巡り

さすがに食い道楽だけでは時間を持て余してしまうので、いくつか観光名所を回りました。まず自殺の名所として名高い東尋坊。岩場で親父がバランス崩して転んだのは焦りましたが、受け身の取り方が上手すぎて笑ってしまいました。すり傷数か所ですんだのも良かったですが、何より転んだ方向が崖方向じゃなくてよかったね、そのまま転がって海に落ちたら旅行どころじゃなかったねと、喫茶店で笑いながら話しました。

最終日には兼六園も行きましたが、公園が見晴らしのいい丘の上にあって、駐車場が丘の下にあるので、上まで歩いて登って、さらに公園の中を歩いて回るのは、親父が普通に歩ける今で良かったなあとしみじみ感じました。まあ観光は父の希望ではないし、あえて行かなくても、うまいもん食わしてスナックで飲ませてれば満足なので、5年後だろうが問題にはならなかったと思いますが。

今回の旨いものツアーはだいぶ親父も喜んでくれて、いままでおっくうだったけど今回の旅行でまた外に出る気持ちが出てきた、と言ってくれたので、連れて行った甲斐がありました。こういうのんびりとした気持ちで親父を旅行に連れだせるというのは、会社を辞めて暇になったからできることで、そんな余裕のある心持ちで、可能なら母とも旅行に行きたかった、そんな気持ちにもなりました。