投資とか

プライベートバンクの投資一任勘定って何?(現実編)

前回の投稿「プライベートバンクの投資一任勘定って何?(理想編)」の続きです。

投資一任勘定で採用されるポートフォリオと商品群(現実論)

では預入金額10億円に満たない場合、投資一任契約したらどうなるのかというと、外資系プライベートバンクが提案している金融商品は、そのままファンドラップと呼んでも差し支えないと思います。つまり、ポートフォリオは安定・バランス・成長のように3~4種類の中から自分のリスク許容度に合わせて選ぶことができますが、ポートフォリオの配分を個人でカスタマイズすることはできないし、ファンドラップを構成している投資信託や株式を変えたりもできません。投資一任なんだから内容は任せろや…というご指摘はごもっともですが。

投資一任勘定のリターンとコストについて

ファンドラップでもいいけど、じゃあリターンはどうなのよという話ですが、いままで各プライベートバンクのデータを見せてもらった感じでは、それほど大勝ちしているようには見えませんでした。投資一任勘定用の商品だと、ざっくりですが、ドル建てでリターン年率5~7%、円の為替ヘッジをしていると3~5%というところでしょうか。そうなると断然コストが効いてきます。

投資一任勘定=ファンドラップでつらいのは、ファンドの信託報酬だけでなく、運用手数料がかかるということです。最近は販売手数料稼ぎの回転売買ではなく、預かり資産に対して運用報酬を取ることで、長期保有・長期投資の顧客を向いたサービスができると言われています。その是非はさておき、運用報酬としてどこもだいたい年1.5%程度取られますし、加えて、あるプライベートバンクが組成しているファンドは最大2.3%の信託報酬を取られるようです。運用報酬と信託報酬を単純に足すと年3.8%、為替ヘッジしていたらリターンがマイナスになる可能性もあります。僕は当初、投資一任勘定であれば運用報酬のみで、信託報酬は取られないものだと思っていましたが、そんな甘いものではないみたいです。

そもそも投資一任勘定でやる必要があるのか?

ファンドラップと同じなら、わざわざプライベートバンクで投資する必要あるの?という疑問が出てきます。僕は「プライベートバンクの投資一任勘定は夢のような素晴らしいサービスだ」という思い込みからスタートしてしまったので、投資一任勘定というワードに引っ張られてしまいました。

結論としては、投資一任契約なんてしなくても、面談しながら運用の方針と必要なリターンを言えば、担当者が自分に合ったポートフォリオを作ってくれて、市場から必要に応じて株式や債券を買ってきてくれます。月1回~四半期に1回は打ち合わせして、リバランスなり売買なりすることもできます。金融商品の売買手数料はかかりますが、運用報酬より購入手数料の方が一回の支出ですむし、そもそも運用報酬より大幅に低額です。

つまり投資一任契約の有無にかかわらず、僕が勝手に考えていた「投資一任勘定で受けられるサービス」を受けることができるということです。あと、プライベートバンクといえども証券会社を抱えているので、市場から株式や債券を買うのは当たり前と言えば当たり前のことです。ぐるっと一周回ってきて訳が分からなくなってきました。自分はいったい何がしたかったのか…