投資とか

プライベートバンクの紹介①:ロンバーオディエ

ロンバー・オディエ(Lombard Odier)とは

日本人には全くなじみがない名前ですが、僕もプライベートバンクを探し始めるまで聞いたことがありませんでした。ロンバー・オディエはグローバルの従業員2500人とスイスの伝統的プライベートバンクの中では最大手に属する銀行で、欧州、アメリカを中心に27拠点、そのうちアジアはシンガポール、香港、東京にあります。ロゴにもうたわれている通り、1796年から続く老舗中の老舗です。

伝統的プライベートバンクらしく、株式公開せず今でも創業者一族を含む7人のパートナーが出資していて外部からの独立性が高く、自己資本比率も約30%と他の商業銀行と比べて20ポイント近く多いので、格付けもAA-(フィッチ)と安全性が高い銀行であることは間違いないです。普通に思い浮かべる典型的な「スイスのプライベートバンク」だと思えば間違いないと思います。

200年以上富裕層と一緒にやってきたという歴史から、資産保全を軸にした運用管理が得意みたいです。話を聞いていても、運用商品はリスク分散とボラティリティ抑制に力点を置いた債券もしくは債券を軸にしたバランスファンドが前面に出てきていました。

ロンバー・オディエの日本での展開

日本ではロンバー・オディエ信託株式会社として、2008年から信託業務を始めています。信託会社とはいえ、日本に口座を作るのとほぼ同じ感じで運用できて、金融商品はスイスが窓口なので、世界中の株式やファンドにアクセスできます。逆に海外口座ではないので、預金封鎖やリスクヘッジ目的の人にはマッチしないと思います。そういう場合、ジュネーブやシンガポールのロンバー・オディエ銀行の銀行口座を直接作ることもできるようです。日本で口座を作る場合は銀行ではないのでお金を借り入れることはできません。

会社の場所は六本木一丁目駅改札とつながっている高級ビル、泉ガーデンタワーの最上階41階にあります。ちなみにクレディスイスも同じビルです。ビルに勤務しているおしゃれなエリートサラリーマンと一緒に中央のバカでかいエレベーターに乗ると、自分が成功者になったかのごとく錯覚できます。打ち合わせ部屋も当たり前かもしれませんが、広いしきれいだし眺めはいいしで、地元の銀行支店の応接室とは比べ物にならないです。コスト原理主義者に言わせると、そういう一つ一つに我々の運用コストがかかっているのを忘れるな!ということではありますが、普段の生活では味わえないリッチな感覚も悪くないです。

ロンバー・オディエの雰囲気

伝統的プライベートバンクでは最大手ですが、それでもUBS、クレディスイスや日本のメガバンクと比べれば小さいので、アットホームな雰囲気でいろんな要望をくみ取って聞いてくれます。リレーションシップマネージャーはずっと同じ人が担当で、必要に応じて運用担当のミーティングなどもアレンジしてくれます。日本支社の規模も小さく、リレーションシップマネージャーが4人しかいません。運用レポートは月1回紙ベースで出るほか、アプリがあってオンライン上で好きな時に確認できます。顧客同士のネットワーキングのイベントなんかも時々やっているようです。

最低預入金額は3億円から

ウェブサイトには預入金額1億円からと出ていたんですが(いまチェックしたら発見できず)、どうやら3億円が最低基準みたいです。いくつか紹介してもらったポートフォリオも最低投資金額3億円以上と明記してありました。さすがに3億円も預けて投資一任契約を結ぶわけなので、自由にポートフォリオ作ってくれると思っていたんですが、実は日系証券会社のコア・サテライト型ファンドラップみたいに、いくつかあるものから選ぶことしかできません。フルカスタマイズでポートフォリオ作ったり、市場から株式・債券を直接買ったりしたい場合はなんと最低投資金額10億円からになります(と言われました)。

そうなってくると、そもそも投資一任勘定って何するところだっけ?ファンドラップと投資一任勘定のポートフォリオの違いって何?プライベートバンクと普通の証券会社の違いってどこにあるんだっけ?と分からなくなってきます。けっこう根源的な問いです。

運用商品について

預入10億円以下は投資信託一択になるので、言うなれば自由度の高いファンドラップと同じ仕組みになります。コア・サテライト戦略ファンドラップは、コアを安定型・バランス型・成長型の中から、サテライトで複数のテーマに沿った投資信託を選んでポートフォリオを組むことができます。あと市場環境に応じてアロケーションを随時変更してくれます。

日本の証券会社でも似たようなコア・サテライトのファンドラップがありますが、上の運用商品はロンバーオディエが作ったファンドで出来ていて、ロンバーオディエ自身がこのファンドラップに投資している(=自分たちが使うくらいだから安心できるでしょ?)というのが売りです。安定型から成長型の各ファンドラップはただ株式と債券の比率を変えるだけではなく、彼ら独自のアイディアでポートフォリオを作っているので面白いです。

資産保全に長けたプライベートバンクらしく、債券ファンドでユニークなものがいくつかあり、アジアの投資適格・ハイイールド債に集中投資するファンドや、値上がりに期待せずに毎年の利払いのみに重点を置いた短期の債券ファンドなどがあります。リターンも上のバランスファンドに負けていません。

かかってくるコストは、投資一任手数料、口座管理手数料、ファンドの信託報酬がありますが、すべてを合計しても普通のファンドラップよりは1%くらい安いです。購入手数料はありません。普通のファンドラップは信託報酬+運用報酬がダブルで効いてくるのでそうなるんですが、一般的なノーロードの投資信託と比較すると運用報酬の分だけ高くなります。