読書・評論

DIE WITH ZEROを読んだ

DIE WITH ZEROは直訳すると、貯金残高ゼロで死ぬということだ。この本の言い回しだと、「人生で一番大切なのは、金を使いきることだ」になるのか。

こうバッサリ書いてくれればめちゃくちゃ感動したのに、著者の最も言いたいことは「人生で一番大切なのは、思い出を作ることだ」「だから挑戦しよう、人生を最大限に充実させ、たった一度の人生を価値あるものにしよう」…こんな陳腐なタイトルの本なら全く売れなかったに違いない。

どうやらバカみたいに金を使いきるだけではいけないらしい。「音や味の違いが分からないのにハイエンドなステレオ買ったり、高級レストランに行ったりする」ムダ金は意味がないものとして、コスパやタイパを常に考えて賢く金を使うべきと指導している。著者がお金を有意義に使う対象としておすすめしているのは、旅行、健康、スポーツなどみたいだ。

僕はどんなムダ遣いであっても、そこから引き出せる経験値はあると思う。100万円のスピーカーだって買って聞いてみればいい。五つ星レストランに通いまくってみて、高級ワインを浴びるように飲んで、それにどのくらいの価値を認めるか判断できる。若い時の貧乏旅行が羨ましいなんていうのはただの思い込みで、金があるならいいホテルに泊まってタクシーに乗って観光したほうがずっといい。

つまらん本だな、と思ってこの本を読んでみて、確かに半分はどうでもいいことを書いてるけど、残りの半分は自分の目標の再発見につながったという点において、価値のある本だと思った。つまり「ゼロで死ぬという目標を持つことで、人生を充実させようという意識が働く。つまり、ゼロで死ぬことを目指すこと自体に高い価値がある」

ちなみに、奥さんにこの話をしたら「ふーん、それで?」と、何が面白いのか全く分からないといった風。彼女曰く、自分の人生はDie with Zeroそのまま、むしろ常にLive with Littleだと。お金さえくれれば、10億だってすぐに使ってあげるから心配しないでと言われました(笑)