ひとり言

人類は三千年来の課題「飢饉・疫病・戦争」に対処できていない

ユヴァル・ノア・ハラリは2018年の著書「ホモ・デウス」で以下のように述べている。「何千年もの間、人類は共通の問題、飢饉・疫病・戦争に悩んでいた。これらは人間の性質と不可分であって、この世の終わりまで解放されることがないだろうと思われていた」「現代ではこの三つの課題を首尾よく抑え込み、対処可能な課題に変えた。飢饉・疫病・戦争を防ぐにはどうすればよいかを私たちは十分承知しており、たいていうまく防ぐことができる」

2022年のいま、僕はこの意見に正面から反対することができる。飢饉の原因となる自然災害は年を追うごとに激甚化していて、40度を超える猛暑と大雨による洪水が、日本で同じ日におきるようになってしまった。僕が生まれてからここまで川の氾濫が多い年があっただろうか。明らかにここ数年、災害被害が大きくなっている。インフレで食料品の値段も上がってきていて、低所得者層だけ抜き出してみれば現代版飢饉と言えるかもしれない。

人間の医療技術で疫病を抑え込めないということは、この3年間のコロナ対応でつまびらかになってしまった。まさか3年もこんな生活を強いられると誰が想像したでしょうか。ワクチンを何回打てばいいんだろう?何回打ってもコロナにはかかるの?重症化しないだけ?7月から始まった第七波では、まさかの自分も感染し、感染者数も一日20万人を超えている。いろいろがんばったところで、人間がもともと備えている免疫機構、集団免疫に頼ることしかできないのか。

2022年、世界の為政者の中で、戦争を対処可能な課題と楽観視している人は一人もいないんじゃないか。まさかのロシア・ウクライナ戦争、昨今の台湾を間に挟んだアメリカ・中国のつばぜり合い、政治家たちは台湾戦争はリスク要因として織り込んでいることは間違いない。ウクライナ戦争ももう半年たつが全く終わりが見えない。欧米の経済制裁もほとんどロシアに効いているように見えない。

人間の技術がアップデートしているのと同様、これら三つの課題もアップデートしている。自然が自らアップデートするというよりは、人間の営みがこれらの課題を進化させていると言えるんじゃないか。地球温暖化や自然環境の破壊、無人で効率的に人間を殺せる兵器開発、悲しいことに地球を破壊して、人間を破壊しているのは、やっぱり人間だということは、この三千年で変わっていない。自然を制御できる、課題を制御できるなんて傲慢になってはいけない。謙虚に日々の生活を生きていきたい。