自動車

ランボルギーニ アヴェンタドールという車

僕が所有している、ランボルギーニ アヴェンタドールという車について書いてみたいと思う。乗り心地は悪いわ、荷物は乗らないわ、燃費は悪いわ、何にしてもひどい車で、わざわざこんな車買う人なんてよっぽどのモノ好きしかいないでしょう。

まず車のサイズ、車幅は2mを超え、長さが約5mある。ちょっとしたトラックを考えるとサイズがぴったりくると思うけど、とにかく取り回しに苦労する。でかい上に見切りが悪く、車線変更なんか毎回「ぶつけませんように!」と祈りながらハンドルを切っている。いっぽう、車高が軽自動車の半分しかない。車に乗って、前にアヴェンタドールがいたら、さらにその前にいる車のリアウィンドウが完全に見える。上からプレスでぺちゃんこに潰して、横に広がってしまったような車だ。もしかしたら本当にプレスで潰しているのかもしれない。

さらに乗車定員は2名、シートは二つしかなく、後席はない。シートはリクライニングすらしない。トラックは荷台にたくさんの荷物が乗るが、残念ながらアヴェンタドールは全く荷物が乗らない。リアトランクもなければ、グローブボックスもドリンクホルダーさえ存在しない。スタバでドライブスルーできずに涙をのんだことは数限りない。

エンジンは不必要なほど大きく、車体の後ろ半分を占めている。6.5リッターV12で、一般的な2リッター4気筒エンジンの3倍の大きさ、つまり車3台分のパワーを1台のために、それも乗員2名のためだけに使っている。人を運んでいるというより、エンジンを運んでいると言っても過言ではない。もちろん燃費も最悪でリッター2㎞~よくて5㎞で、伊豆なんか行こうものなら、片道でガソリンを入れなければ帰ってこれない。

エンジンがバカでかい割に冷却が不十分で、真夏の都内の渋滞に対処できずにオーバーヒートしたことがある。目白通りであえなくレッカーのお世話になり、帰りのタクシーの運転手に「今どきオーバーヒートする車なんて珍しいね、どんなボロい車乗ってたの?」と聞かれて、黙ってうつむくことしかできませんでした。

ナビは3世代前くらいのアウディのナビで、地図のアップデートも存在しないので、まず使い物にならない。音楽も、AMラジオを延々と聞かされているんじゃないかと思うくらい、スピーカーの質が悪い。まあバラバラとタイヤが砂を巻き上げる音やら、不安にさせるメカニカルノイズ、何よりもバカでかいエンジン音で、音楽を聴いていても全てかき消されて何も聞こえませんが。

このように存在意義に疑問しかもたらさない不思議な車ではありますが、唯一と言っていい良いところがあります。それは、究極にカッコいいこと。神がかったかっこよさ、スーパーカーの中のスーパーカー、何と言っても言いつくすことのできないたたずまい・オーラがこの車にはある。それだけは間違いなく断言できる。

そしてそのカッコよさが単なる張り子の虎ではなく、実力が伴っているところがさらに素晴らしい。750馬力の加速はまさにジェットコースターで、身体がシートに押し付けられながら容赦なく加速していきます。200㎞/hを超えても加速が止むことはありません。

そんな魅力に打ちのめされて、2017年にこの車を所有してからかれこれ5年近くになる。この車との10000㎞以上にわたる濃密な思い出、悪女だからこそ惹かれる、そんな言葉がぴったりくるのかもしれないと思ってみたり。